蜂と花咲かじいさんの話

蜂と花咲かじいさんの話

アテネファームではトマトの受粉にセイヨウオオマルハナバチを使っています。マルハナバチ(通称マルちゃん)は蜜よりも花粉を集めるのが好きな蜂さんです。トマトの花には花粉があっても蜜がないのでミツバチでは受粉できないんですね。

主に花粉は巣にいる幼虫たちのため、自分は蜜を吸って生きています。あまりハウスの中に草を生やしすぎると右の写真のように美味しい蜜の方へいってしまって働かないので注意しましょう。 (^^;

トマトに快適温度帯があるように、マルちゃんも暑すぎたり寒すぎたりは苦手です。巣はミツロウでできているので暑いとピンチです。暑い中に巣を置いたままにしておくと、ピンチの巣を救うために全員で羽ばたいて風を送って巣を冷ますように努力します 蜂の羽が送るほんの少しの風で巣が助かるとも思えないんだけど、マルちゃんにとって巣が融けてしまうのは一大事なので、決死の覚悟で風をおくるんでしょうね… もちろんそういう暑い中で全力で羽ばたくのはとても疲れるので、そういうことにならないように巣は涼しくしてあげるほうがいいです。たとえばうちでは釣りの時などに使う保冷剤を巣の上の方に置いて、クーラー代わりにしてあげたり、もっと暑い時には巣を涼しい納屋へ下げたりしてこまめな温度管理をしています。

それから寒い日のこと。

マルちゃんはあんまり寒い日は動けません。昆虫は気温が高い時のほうが動きもすばやくて元気な感じ、あんまり寒い日は巣まで帰りつけずにしんでしまっているマルちゃんもいます。アテネファームのある道北は春はまだ気温が低い日も多くて、せっかくトマトの花が満開でも寒すぎてマルちゃんたちが働けない時もあります。トマトの花は受粉しないと落ちてしまうので(受粉しない = 結実しない = トマトにとっていらない花なので自分で落とすんです)、やむを得ずトマトトーン(着果促進剤)を使うことになります。

でもこの数年、ごうのすけさんの研究により、週間天気予報を見て気温の高くなりそうな日を目指して、トマトたちに満開になるように誘導することができるようになってきました!

うちでは 花咲じじい戦法 と呼んでいます。本当にそんなことができるのか、不思議でしょう?どういう風にするのかは…ごめんね、これも企業秘密。(^^)  そんなわけで2017年は8棟あるハウスに次々と花が咲いていくのに、トマトトーンを使ったのは1回のみでした。気候のタイミングとうまくあえば、トマトトーンなしでもやっていかれそうな雰囲気です。

マルちゃんたちはいつも世話をしてくれるおじさんを覚えているようで、「たしかわたしのおうちはこのおじさんの近く…」と思いながら巣を探しているみたいです。ごうのすけさんがハウスで仕事をしていると、周りにマルちゃんたちが飛んでいてかわいいですよ。